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あなたは、将来の仕事から所得を期待できる。この所得を貯えておくか、あるいは、将来の所得を見通して消費するための何らかの方法がなければ、所得を得た時点で消費することを強いられよう。もし、あなたの所得の大部分が生涯の遅い時期に到来するなら、その結果は現在の飢えと将来の大食という結果になるかもしれない。資本市場は、あなたの今日のドルと将来のドルとを交換し、逆に将来のドルを今日のドルと交換することによって、この問題を解決する。このため、収入がいつ発生するかにかかわらず、あなたは現在も将来もともに適度に消費していくことができるのである。

ちょうど37万ドルの元手を現金で持っているとしよう。今日、すべてを使い切ることもできる。すべてを5%の金利で投資して、1.05×370,000=38万8,500ドルを1年後に使うこともできる。あるいは、半分に分けて、18万5,000ドルをすぐに使い、残りの18万5,000ドルを5%の金利で投資し、1.05×185,000=19万4,250ドルを来年消費することもできる。今日の消費と将来の消費をさまざまに組み合わせて調整することもできる。すべての実現可能な範囲は、図2.1の黒い線で描かれている。直線の傾きは、5%という金利の水準から決まる。

37万円の元手を、先ほど説明したオフィスビル開発にも投資できるとしよう。これは、次の年に確実な42万ドルをもたらす。そのため、今日まったく消費できないというわけではない。将来の収入を当てにして借り入れることができる。金利が5%なので、42/1.05=40万ドルまで借入れ、使うことができる。借入額を変えることによって、自由に今年と来年の消費を調整できる。実現可能な組み合わせは、図2.1に緑の直線で表されている。どのような選好であっても、明らかにオフィスビルへの投資によって望ましい状況になる。ビルへの投資は、価値を増加させ、あなたの富を増やすからだ。図2.1の黒の直線から緑の直線へとあなたの機会を広げる。これが、純現在価値ルールが適切であることの理由である。正の純現在価値の投資プロジェクトを受け入れれば、現在あるいは将来使うことができる新たな富を必ず手に入れられる。

今や、良好に機能する資本市場の存在によって、望ましい消費の異なった時間パターンを持つ投資家がどの投資プロジェクトが実施されるべきかについて合意することが、どうしたら可能になるかを示すことができる。まったく異なった選考を持つ2人の投資家がいると考えてみよう。Aは,将来のために\貯蓄することを望むアリである。Gは、明日について注意を払うことなく、つかの間の遊びにすべての富を使うことをより好むキリギリスである。それぞれが、18万5,000ドルでオフィスビルの50%に出資するという同一の投資機会に直面していると考えてみよう。

図2.2から、Aは明らかにビル開発に喜んで投資することが分かる。ビルに投資すれば、年末に使える0.5×42=21万ドルを手にする。18万5,000ドルを資本市場に投資したとしても、1.05×185,000=19万4,250ドルしか手にしないだろう。

1年後ではなく、今すぐ金がほしいGについてはどうだろうか。投資プロジェクトの支払いをあてにして借入れができるため、Gも喜んで投資する。図.2.2から分かるように、投資によって今すぐ使える1万5,000ドルを新たに手にすることができる(21/1.05=20万ドル)。

AとGが新しいオフィスビルの建設に投資することで合意するための重要案条件は、2人が良好に機能する競争的な資本市場を利用できるということである。そこで彼らは、借入れと貸し出しを同じ金利で行うことができる。企業がキャッシュフローを資本市場の割引率で割り引くときには、企業は株主が競争的な資本市場への等しいアクセスを有していると暗黙のうちに仮定している。

もし、このような十分に機能する資本市場がなければ準現在価値ルールがどのように損なわれてしまうかは、容易に理解できる。例えば、Gが将来の所得を裏づけに簡単に借金することができなかったと考えてみよう。そのような場合には、彼は、オフィスビルに投資するよりは、今日、現金を使うことを好むであろう。もし、AtoGga同じ企業の株主であったなら、彼らの異なった目的を調和させる簡単な方法はないだろう。

誰も、資本市場が完全に機能していると無条件に信じているわけではない。このブログでは、財務上の意思決定に際し、課税上の相違や取引コストその他の不完全性を考慮しなくてはならないいくつかのケースを検討する。しかしながら、我々は、資本市場が一般的にはかなり良好に機能していることを示す研究についても検討する。それは、企業の目的を純現在価値に基づくものとすることの一つの十分な理由である。もう一つの十分な理由は、純現在価値は常識にかなうということである。すなわち、主要な競争相手となるほかの考え方と比べ、明らかにおろかな答えを出す頻度が低いことが分かるであろう。不完全な市場の問題を垣間見たところではあるが、今のところは難破船の経済学者のように、単純に救命胴衣を装着していると仮定して安全に陸まで泳ぐこととしよう。

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